日別アーカイブ: 2016-11-29

FUJINON FMT-SX 10×50・・・スワロと比べてみた。

fujinon1口径も倍率も違う機種を比較して意味あるかなとは思わんでもないですが、比較の対象がないと何にも書けんのでご参考までに・・・。medaichiの鳥見標準機、スワロフスキのEL8.5×42SVと比べてみました。まず、いわゆる「キレ」解像のシャープさですが、ざっくり、見ただけでもわかりましたが、この、FUJINON FMT-SX 10×50の中心部のシャープネスは、ハイエンド製品にせまるパフォーマンスでした。像質は心地よくスッキリして、大型ポロ機のプロ仕様だけのことはあります。

swaro1視野中心部の解像パフォーマンスと言いましたが、平たく言えば、像の形成が鋭いかぬるいかということです。加えて合焦位置がピタッと決まりやすいか、どうかも気になるところではありますが中心部の像質のシャープさについては、スワロフスキEL8.5×42SVは秀抜で、しかも良像の範囲は他の欧州勢に比べて広く、合焦ピークの位置もピタッと決まります。

比べて、FUJINON FMT-SX 10×50ですが、IF方式の機種だけあって焦点深度は深く、合焦ピークの「ここだ!!」というのにたどり着くにはちょっと迷いますね。ダイヤルを意識してゆっくり回して、眼がついてくるのを待ち、慌てず調整するのがコツなんですが、両方の接眼レンズを合わせるのは最初は面倒です。絶対、鳥見に向かない双眼鏡ですW とはいえ、開発のコンセプトが違うんだから、こんなの比較したって意味ないですね。

fujinon_swaro次に、色の「ヌケ」ですが、FUJINON FMT-SX 10×50の透過感は極めて良好です。上の写真は、マニュアルでカメラの露出を固定して撮影しました。スワロより明るく写ります。世界のハイエンド機、たとえば、ZeissのVictory 7×42FLに肩をならべるかもしれません。比べてみたFUJINON の7倍機種 FMT-SX 7×50にはわずかに及びませんが、光度という項目では、この双眼鏡は、満点とはいかなくとも9点+と評価できるのではないでしょうか。

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色彩の再現は双方ともにリアルですが、FUUJINONのレンズは緑色のコーティングが施されていて、補色にあたる赤というか、暖色系の発色が想定されます。実際、撮影された雲は、フジノンはわずかにピンクかかっています。スワロは寒色系の発色です。この辺は好みでいいんじゃないかともおもうんですが、その時点でのmedaichiの眼視で、雲にこれほどの暖色系の色合いは感じなかったので、リアルさという観点ではスワロ君に軍配を上げざるをえません。

fujinon2次に、周辺視野を見てみましょう。FUJINON FMT-SX 10×50 の周辺では、歪曲収差は( 普通、望遠系のレンズは内側に凹んだ糸巻き様のゆがみが見られます )、よく補正されていて、眼視ではほとんどわかりません。像質の崩れは視野の70%あたりから緩み始めますが、まあ軽微としておきます。上の写真では明らかに崩れが感じられますが、おそらく、撮影用のカメラレンズの描画性能も加味されて、崩れが増幅されていると思われます。

swaro2おまけですが、スワロのEL8.5×42SVの周辺視野は非常に優れていて、medaichiが鳥見の標準機とした理由のひとつです。周辺歪曲が非常に少なく、眼視ではほとんど識別ができません。周辺の像質の崩れも極めて軽微です。上の写真は、1.000m以上離れた倉庫に描かれた文字を切り出しましたので、先に申し上げた、撮影レンズの描画能力に加えて大気の揺らぎも加わります。もし、もっと近距離の撮影なら、崩れはもっとわずかになります。眼視で、視野の中心から視線をずらせて、点像の崩れ始めを感じ取るってことなんですが、このスワロ君では、双眼鏡に慣れておられない方なら、なかなか感じ取れないんじゃないかと・・・。

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双眼鏡は鳥屋さんだけじゃありません。鳥屋さんよりずっとまえから、もっとうるさいW 星屋さんが天体観望に使っておられました。天体屋さんでFUJINONっつうと、FMT-SX の7×50・7倍機が定番ってことになってます。手持ち機種ってことですけどね。NIKONだと7×50 SPが有名。medaichiも7倍機見てみました。明るさ、周辺像質なら、まず7倍機のほうがアドバンテージあります。じゃ、なんで10倍機にしたんだ~ってブーイングきそうなんですが・・・。

7倍機って、見掛け視野が50度ほどしかないんですよね。よく、「トイレットペーパーの芯筒から覗いた様な・・・」なんて表現されますが、さすがにそこまで狭くはありませんW  でも、ちょっと窮屈な・・・。そうだなあ~、medaichi的には60度くらいあればOKでしょう。FUJINON FMT-SX 10×50の見掛け視界は計算上は63度、広々と快適な視界が広がります。

それと、星屋さんなら、まあ、星は点像じゃないですか~。medaichiは鳥屋ですから、遠くを飛んでる猛禽とか、干潟のシギチドリとか見るときの「手持ち限界機」で一番ハイパワー(この場合、パワーというのは倍率、ちよっと加えて明るさ)なの・・・っていうと10×50機がMAXってことですね。星を観ておられる方なら、ご存知と思いますが、都市近郊の光害エリアで、瞳径5mm機のほうが背景が黒くしまって、星が見やすいらしいです。元が興味本位というか面白半分なmedaichiは、これから寒くなって、大気が澄んで来たら、FUJINON FMT-SX 10×50君を持ち出して、夜空を眺めるのも悪くないかな~とも思っています。ここら辺が理由で、今回は50mm径の10倍機となりました。公園や森で鳥をみるだけなら、30~40mm径の8倍機と申し上げておきます。