中央部の解像感
それでは、SE10×42とMHG10×42の両君の見え方を見てみましょう。なんたって双眼鏡はクッキリ・ハッキリ、解像感と発色ですもんね。でもって、展望塔から近くのアシ原を・・・。風で揺れるのが面倒ですが、まぁ、何とかなるでしょう。それぞれの視野に入れた目盛りはセンターからの割合です。ぱっと見ただけで、両君ともに中央部の解像感が良いのがわかります。でも検証にならないから、中央部の20パーセントほど等倍で切り出してみます。
う~ん・・・、ほぼハイエンドに近い光学品質の余裕のポロ機SE10×42に対し、MHG君、健闘しているではありませんか。屋外なんで光線の状態はすぐかわりますから、ご参考までに。まぁ、中央部の解像感に限って言えば優秀といえると思います。
視野の周辺像
SE10×42のセンターから視野周辺までを切り出しました。良像の範囲は40%ほどですが、眼視で見ていただけでは、そこから周辺にいたるまでフラットな印象がありました。今回、始めて画像で検証してみたのですが、像質の崩れは、やはりあるものの崩れの度合いが緩やかで軽微であり、そして、なだらかな自然な変化なので、「この辺から・・・」と崩れを意識せずにいたのかもしれません。こういう自然な像質の崩れ方って肉眼の見え方に近いので好感が持てます。廃番になっても人気が衰えない理由かもしれません。
MHGのセンターから周辺部です。やっぱり新しい双眼鏡なので、SEとは味付けが異なりますね。良像の範囲は50%を超えるかも・・・言い過ぎかW。50%としておきます。70%位まで崩れず粘りますが、80%あたりから崩れが目立ちます。ただし、以前も書きましたが、撮影したカメラレンズも周辺部にいくにつれて甘くなりますから、実際、眼視だともう少し周辺まで良く見えます。
「広視界ながら、フィールドフラットナーレンズシステムの採用により視野全域でシャープでクリアな像を実現・・・」ってのが、Nikonの宣伝COPYなんですが、まあ、視野全域ってのは少々割引せんといかんでしょう。ハイエンドのEDGEに比べれば周辺部は甘いです。ですが、medaichは鳥屋さんなので否定的な印象はありません。広い視界のコンパクトなダハ機でここまでやってくれれば後釜には合格としておきます。おまけですがピントの合う最短距離はNikonのサイトでは2.0mとなっていましたが、実際は最近の双眼鏡らしく、1.6m前後まで合いました。
色再現と色収差
さて、像の明るさはわずかにSE10×42の勝ち・・・。MHGも明るいです。表現は悪いですが、ギラギラするようなハイエンド級の明るさとまではいきませんが、各メーカの普及機クラスとは別格の明るさです。像の色合いも自然で、medaichiの苦手な黄色かぶりもありません。青緑味を極めて僅かに感じます。
少し引っかかったのは、MHG君、ミドルエンドというか、この価格帯の機種にしては色収差が多め・・・。お天気が良くコントラストの強い場合、やや目立ちます。建物の縁とか窓の縁を見ていただければわかると思います。もっともSEだけでなく大抵の機種でも、周辺部では色収差は増加するんですが、「ED(特殊低分散)ガラスの採用により、色にじみの原因となる色収差を補正し・・・」云々ってのは期待外れでした。鏡筒が短くなった影響かも。「野鳥で白いのってサギくらいしかいないし、まっ、いいっか・・・」とスルーすることにしました。
悪口はこのぐらいで終わっときます。視野の周辺部75~80%位からの像の崩れと、多めに感じる色収差ぐらいかな。コンパクトな筐体を採用したってことの影響かも・・・。鏡筒を短くしプリズムをサイズダウン、当然、レンズ・プリズムの加工組み立てとか精度が要求されると思うんですが、視野の大きさにもかかわらずよく補正されていると思います。Nikonのトライは歓迎ですね。MHGのシリーズって、対物30mmクラスが企画されてないのかなあ、興味ありますねえ。