日別アーカイブ: 2021-06-15

Nikon Monarch7 8×30とか・・・②

とりあえずは覗いてみよう

外観とか後で紹介するとして、Nikonの双眼鏡の8倍30口径のエントリモデル3機種・この場合はMonarch7 8×30がどんな見え方するか、とりあえず覗いてみよう。真ん中の8×30EⅡはもともとこのクラス最大の広々とした視界が特徴だ。Monarrch7 8×30も健闘して見掛視界60.3°だ。今度のISO規格と新JIS規格では、見かけ視界の算出方法が変わったので、見かけ視界60°以上のものを広視界型双眼鏡と呼ぶようになった事情があります。

Monarch7の8×30はこの広々とした見掛視界で、元祖エントリモデルの8×30EⅡの後継者の資格十分かな。見える範囲が広いってことはBirdwatchingに関して、野鳥を探す時アドバンテージありますもんね。右のProstaff7S 8×30も圧迫感を感じるほど視界が窮屈というわけではない。この辺のクラスの機種としては普通の見掛視界だと思うし、普通にbirdwatchigを楽しむのに不足を感じるというほどのものではないだろう。まあ、双方手に取って比較してみれば差は明らかに感じとれます。

夏の朝、まだ涼しいうちにMonarch7 8×30を覗いてみた。像の明るさは元祖エントリモデルの8×30EⅡの方が僅かに明るい。EⅡを9点とすると8点+あるいは8.5点くらいかな。でもこのクラスの普及機に比べると目に見えて明るく、広い視界とあいまってとても気持ちの良い視野が広がる。加えて発色もニューラルに近く、僅かに暖色味を感じますが白いものは白く見えます。

普通の双眼鏡は同じような傾向だが中央部の解像感はきちんとしてる。像質は中央から40%位から緩み始めるが眼視では70%を過ぎたくらいからでないと覚知できないかもしれない。視野外縁部は緩んできているのがわかる。同様に内向きの糸巻き型歪曲収差が60%くらいから出始める。ここら辺は各メーカのミドルクラスからハイエンドでないとコスト的に補正は難しいだろう。

もっとも、Birdwatchingで野鳥を観察するのに左の様に視野周辺で観察する人はいないわけで、周辺視野は「何かいるな・・・」とか「あっ、何か動いた・・・」と覚知できればいいので、このNikonのMonarch7 8×30は好印象である。

そうだなあ、「干潟にぎっしりのハマシギ・トウネンの群れ・・・、隅から隅までキッチリ見えないとヤダィ!!」とおっしゃられる諸兄は、エントリモデルと言わず、フィールドフラットナ搭載の上級機種の購入を検討されればいいのではないかと・・・


周辺像質って・・・

周辺視野は「何かいるな・・・」とか「あっ、何か動いた・・・」と覚知できればいいのでってバッサリ切っちゃったけど、最近の双眼鏡のトレンドだし、比較してみないと実感してもらえないだろうから、双眼鏡の周辺像質に一番こだわっているであろうメーカのSwarovskiと比べてみることにしよう。medaichiが標準機にしているEL 8.5×42 SVで視野を撮影してみた。あいにくの曇り空だが何とかなるだろう。

中心から45-50%の像形成の精密さは優秀、しかもフォーカスの山もぴたりと決まる。使い心地の良い双眼鏡だ。話がそれたが50%を過ぎたあたりから像質が緩み始めるのだが、非常に軽微なまま周辺端に至るまで持ちこたえているのが観て取れるだろう。しかも周辺像の歪曲も非常に少ないので眼視ではおそらく感じとれないだろう。

聞きかじりだが、EL 8.5×42 SVには接眼部に2枚のフィールドフラットナが搭載されているとのことだ。周辺像の緩みっていうのは乱暴な言い方をすれば、視野中心でピントを合わせても周辺ではピントが合っていないという現象。周辺に現れるレンズの諸収差を補正すると結像点が光軸に垂直な面にそろわず湾曲面となる、いわゆる「像面湾曲」が発生する。広視界タイプの双眼鏡ほど顕著になるから、中心部クッキリ・周辺部ズルズルってなるわけね。昔の双眼鏡ってたいていそういうものでした。「フィールドフラットナ」の技術はそういう結像面の湾曲を適正化するって技術なわけですね。

当然、高度なレンズ設計が必要となるわけなんだが・・・。広い視界で星空を見渡す天体屋さんなら「視野に広がる星のどれを見ても周辺視野までキッチリ点像で見えなきゃヤダ!!」などとおっしゃるわけで、視野中心部での観察メインの鳥屋さんに、エントリモデルも含めてそこまでいらんやろとは正直思います。ネット上での双眼鏡のプレビュもほとんど天体屋さんが書いておられるんじゃないかと・・・。

昔の野鳥ファンの先輩諸兄がZIESS使っておられたのも、当時は国産の双眼鏡で明るく視野の広い良いものが少なかったという事情もあるんでしょうね。今回、Monarch7の 8×30を試してみて明るく広い視野+ニュートラルな像の色合いを確認できました。野鳥観察のエントリモデルとして必要充分な光学性能、防水性とコンパクトな形状がバランスよく作られているモデルとして推奨できます。