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アカアシシギとツルシギのおまけ

10/19のアカアシシギとツルシギの端折った記事でお客様に質問とかいただいて、意外に( 失礼W )アカアシシギ君に関心のある方多いようで驚きました。写真を撮っておられる諸兄にも断片的というか、未整理で覚えておられるもんで煮詰まっちゃってる方も見受けますので、平素、「図鑑に書いてあることが実際のフィールドでどう見えるか、きちんと確認しましょう。」等と言わせていただいてるので、まぁちょっとオマケ記事を・・・

幼羽は孵化後の最初の正羽でシギの場合、渡りの早い頃(8月~10月)に見られます。以降一般的には体羽の一部・・・(主に肩羽が目につきますしわかりやすいと思います)を換羽して第一回冬羽となります。頭や体下面よりもわかりやすいので、まず肩羽に注目する癖を身につけましょう。上の写真では、第一回冬羽に換羽中の肩羽が灰色に細い羽軸の冬羽に換羽しているのがわかりますね。

野鳥というとまず羽に注目しがちなんですが、羽の生えていないところ裸出部も年齢の識別に役立ちます。アカアシシギはその名の通り赤い足が特徴なんですが、幼鳥や第一回冬羽の場合、足はどちらかというとオレンジ色っぽく見えます。成鳥の場合、夏羽よりは幾分鈍くはなりますが冬羽でも赤く鮮やかです。上下嘴基部も若い鳥では赤みが乏しくほとんど無い個体もいます。でも、写真の場合は撮影時刻や個々の設定で赤色がかる場合がありますから注意してくださいね。

ツルシギとアカアシシギのところでお話しするの忘れてたんですが、ツルシギのほうが僅かに体も大きく足が長く体高も高いのですが、水辺だと必ずしも同じレベルに立ってくれているわけもなく、図鑑のようにじっとなんてしてくれませんよね。まあ、上の写真みたいに紛らわしい場合がほとんどだと思います。

medaichiはシギの体高というか足の長さを見る場合、ほとんど脛( tibia )を見ています。この写真なら下腹から脛がどのくらい出ているか、アカアシシギとツルシギの違いが見て取れると思います。オオメダイチドリとかも見ますね。まあこんなこと言っちゃうとなんだけど、経験上申し上げますと、面倒だからと言って識別のポイント一か所だけで「この子は・・・だいっ!」って決めつけちゃうと、うん、たいてい後で赤恥とか青恥をかくはめになります。

コアオアシシギ成鳥冬羽のこと・・・

10/28、今朝の干潟でコアオアシシギが1羽増えて2羽に・・・。この子は第一回冬羽に換羽中の幼鳥で、野鳥園の秋季の観察は暗色に見えるこのような個体がほとんどです。ん~、シギチドリの観察メインの野鳥園なのにコアオアシシギのお話もしたことないような・・・。つうことでブログのお客様におまけ記事を。

この成鳥冬羽の上面は全体に灰色っぽくて、羽軸が細い褐色で白い羽縁があります。上段の第一回冬羽に換羽中の個体と比べて、上面の全体が灰色っぽく見えると思います。野鳥園では観察の機会が少なくてmedaichiは一瞬「んっ? なんだ!?」と驚きました。というのもコアオアシシギのみならずシギの秋は幼鳥が傾向として多く、種によっては成鳥冬羽が稀にしか見られん場合があるからです。

近年、アカアシシギやコアオアシシギは一部越冬する個体が見られるようになりましたから、この子も越冬してくれる可能性は結構あるんじゃないかと。medaichi個人的にはお勧めの子ではあります。こんな地味な鳥イチオシにすると偏屈な鳥屋と思われますから、まあなんだ・・・、ほどほどにっつうことで・・・W

ムシクイの撮り方で蛇足的余談

20120303kimayumushikui

medaichiはデジスコ始めてしばらくしてからも「ムシクイなんて無理!!」と、はなから撮影対象と見てなかったんですが、そうだなあ10年くらい前に野鳥園でキマユムシクイが越冬したとき、「ん~、写真無しっつうわけにもいかんしな~・・・」と、幸い年末から翌年4月初旬までいてくれたのでこの子で修行させていただきました。上の子ですね。地鳴きが「チウィ~・・・」と特徴的で見つけやすい子なので助かりました。ムシクイの動きについていけるよう、ジンバル雲台に替えたりとか工夫もしてなんとか追えるようになって気づいたことがあります。

ムシクイって獲物を捕らえると枝の上でバシバシってやって弱らせてから食べます。それから嘴をフキフキして綺麗にしたりもします。その間だけは葉陰から見やすい枝の上にいることが多いってことですね。要は姿を追い続けて、なんか捕らえた時がチャンスってわけです。まあ、medaichiを少しはやる気にさせたのはキマユムシクイ君というお話でした。

でもって今朝のオオムシクイ君ですが、アキニレでなんかシャクガの幼虫のようなものをキャッチしていました。秋はクモとか虫狙いかと思っていたのですが、種によって春から秋まで幼虫の発生が幅広なのとか、複数回発生があるのもいるみたいですね。小さなアブのような昆虫を捕らえた写真もあったと思うのですが散らかっちゃいました。

ツルシギが来ました

思い出してみてもツルシギ君をこのブログでは書いたことは無いなぁ~。念のため検索しても揚がってこなかった。春の黒い子ならわかりやすいけど、この時期の冬羽に換羽中の子とか幼鳥とか、バッと見てアカアシシギと紛らわしいらしいので、ちょっとだけお話しすることに・・・

ん~、体の大きさはツルシギのほうが僅かに大きいし、足も長いからシルエットでもわかるんだけどね。写真で「これ何?」って聞かれたら、まず、嘴かな・・・。双眼鏡とかで見えたり写真で確認できるなら、嘴の基部が上下ともに赤みがかってるのがアカアシシギです。ツルシギは下嘴の基部だけ赤いです。ツルシギの嘴はアカアシシギに比べて僅かに長く、先端は細く下垂( 下に曲がって )見えます。

後はそうだなぁ、頭部についてなら、あまりお客様には言ってないけど、図鑑に白い眉班がツルシギは目の後ろまで伸びてるって書いてありました。ここらあたりは個体によって不詳な場合やきちんと見えない場合もありますから少々慎重に・・・

翼の白帯ね・・・。これは顕著な特徴なので覚えておくと便利。アカアシシギの翼には内側の初列風切の基部と次列風切りが白いから、翼の後縁に明瞭な白い翼帯があります。飛んでいる子をチラ観して「ああ、翼帯あるねえ。アカアシやね・・・」とやれば、うふっ、上級者の雰囲気がそこはかとなく漂いますが、その後、質問攻めになってもmedaichiは責任持ちません。不悪

オオムシクイの些細なこと・・・

ん~、初手から煙幕はるのもなんだかなぁ~とは思うのですが、概ねムシクイネタっつうのは地雷原もええとこで大抵自爆するんだけども・・・、まあいいや。普段お客様には「メボソムシクイとオオムシクイは外見・写真では識別困難ですから鳴き声をよく聞いてね・・・」などと説明しているmedaichiではありますが、以前から気になっていたことがあって、文一総合出版の「新訂日本の鳥550山野の鳥」のオオムシクイとメボソムシクイの記述にオオムシクイは「下嘴の黒色味が少ないい傾向にある。」とあったことです。

まあ、medaichiは「ムシクイなんてデジスコじゃ無理!!」とはなからサボっていたのですが、「技術的退行…」との指摘に耐えかね撮影を始めたのはここ数年のことなんですけどね。オオムシクイは上の写真みたいに、普通、下嘴の基部は黄橙で先に暗色班が目立つのですが、「ほんとに下嘴の暗色班が少ない子っているのかね~?」と懐疑的ではあったわけです。

で、先日撮影したオオムシクイの下嘴を見ると「うおっ、下嘴の暗色班がぼやけとる~」となって、前から気になっていた図鑑の記載を初めて確認できた気がします。やっぱり図鑑に書いてあることが実際のフィールドでどう見えるかを確認する過程は面白いですね。という些細なお話でした。