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NIKON MONARCH M7 8×30だとか・・・③ 外観の続き

M7 8×30の外観の続きです。ん~、仕様の同じもの見比べるのって退屈極まりないんだけど、まあ後でまとめ記事書くときに画像要るし・・・。下面からは例によって見にくい場所に見にくい表記でシリアルNoと、made in C国の表示があります。

後、付属品ですが、対物レンズキャップはゴムのボディからの吊り下げタイプが付いています。観察の時は邪魔なんだけど、被せるキャップは紛失率No1だからこれでいいでしょう。1個税込330円ってNIKONさんのサイトにあったから千切れちゃってもOK。ストラップに取り付けるタイプの接眼レンズカバーは普通のタイプ。接眼レンズは唾液痕や雨滴、海水の飛沫などで汚れやすいから必須ですね。medaichiはマメに観ない時は被せるよう癖にしています。

今風やな~っと思った双眼鏡ストラップ。従来のカチッとした平織からネオプレーン素材の柔らかいものがついてますね。デザインは控えめ。別売のストラップは首のところにNIKONのロゴ刺繍が施されていますが、付属のは刺繍無し。最後にベルト通しのついた双眼鏡ポーチが・・・って写真撮り忘れたけど、まぁいいやW

外観の紹介を書いているのに覗いてみたくてしようがないのでコリメート撮影してみましたW。同じ仕様なんだから同じ視界って決まってるようなもんだが、何事も鵜呑みはいけません。まあ旧型のMONARCH7と同じく、このシリーズのセールスポイントである広くて気持ちの良い視界を確認しました。撮影の結果では今回のM7の像のほうが0.1°程実視界が広かったのですが、測定器を持ってないmedaichiですから誤差の範囲内ですね。

NIKON MONARCH M7 8×30だとか・・・②

ちょっと先走っちゃいましたねW。M7 8×30、もう少し外観を見てみましょう。ずいぶんスッキリとした形状です。ラバー外装も「ここをグリップ・・・」みたいな押しつけがましさがなくいい感じ。medaichi好み。メーカ名・機種名の表示部分も控えめな銀文字で、パッと見で「えっ? 何~?」と思うような奥ゆかしさがあります。

接眼レンズ側からみてもフォーカスリングあたりが控えめで、下のMONARCHのHGと同じですね。このM7の双眼鏡のシャーシは、ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂だから前シリーズと変わってないです。

接眼レンズ内部を撮影してみても前機種のMONARCH7と同じように見えます。8×30については仕様は同じと言えそうですね。

NIKON MONARCH M7 8×30だとか・・・

当ブログのお客様は、昨年6月の拙稿で「Birdwatchingに向く双眼鏡・エントリモデルのベストバイ・・・」等というご大層なタイトルでNIKONの「MONARCH7 8×30」をご紹介したことを憶えておられるでしょうか?  粗雑なmedaichiは書きかけのまま放りだしたみたいになってますが、要は件の「MONARCH7 8×30」は廃番になっちゃって、新製品の「MONARCH M7 8×30」に切り替わっちゃったというお粗末・・・。まあ、発売して10年にもなろうかという型番だから、そのくらいのことは想像できるだろってことなんですけどね。少々ショックで立ち直るのに1年かかりましたW。

鳥のいない時期は機材ネタで誤魔化・・・いやお茶を濁すのが常套手段のくせにこれではいけません。気を取り直してYカメラへ・・・。まだ価格がこなれてないので諭吉先生が4名様出ていかれました。ここまではよかったのですがハテ困った!  旧型のMONA7を娘夫婦宅へ里子に出してしまいました。「まあ、いいっか。廃番になったのと見比べてもしょうがないし・・・」とお気楽なmedaichi。

取りあえずNIKOさんのサイトで諸元を・・・。「んっ? な~んも変わっとらん。」全幅が2mm大きくなって30g増してるくらいでした。前玉42mmのモデルは実視界が僅かに広くなってますね。ここら辺は新JISの見掛視界60度を確保するためでしょうか。広視界タイプとするにはここは大事なポイントです。参考までに8×30モデル新旧の諸元を下に貼っておきましょうか。

MONARCH 7 8×30 MONARCH M7 8×30
倍率 8倍 8倍
対物レンズ有効径 30mm 30mm
実視界 8.3° 8.3°
見掛視界 60.3° 60.3°
1000mにおける視界 145m 145m
ひとみ径 3.8mm 3.8mm
明るさ 14.4 14.4
アイレリーフ 15.1mm 15.1mm
最短合焦距離 2.0m 2.0m
高さ 119mm 119mm
123mm 125mm
厚さ 48mm 48mm
質量(重さ) 435g 465g
眼幅調整範囲 56~72mm 56-72mm
防水性能 1mの水深に10分間 1mの水深に10分間

とはいうものの、新型のM7・・・、ボテッとしたラバー外装がケレン味のないmedaichi好みのスッキリした形状になってますし、メーカ名等の表記も控えめなサイズの銀文字でいい感じです。

視度調整リングにロック機構が採用されてました。調整リングを上に持ち上げて解除、視度調整の後にリングを下げるとロックされて視度調整リングが動かないようになっています。MONACHのHGに採用されてたのと同じですね。

ここまでスペックと外観だけ見ましたが、今日はあいにくの雨なのでここまで。

Nikon Monarch7 8×30とか・・・④

続)とりあえずは覗いてみよう・・・色収差のこと

ん・・・と、前回、周辺像がユルユルだの、グニャグニャだの悪口ばかり言った ( そこまで言ってないか・・・?W )もんでNIKONさんに怒られそうだなあW。まあmedaichiは双眼鏡についてはNIKONさんのファンでもあるし、ヘビーユーザでもあるから勘弁していただきましょう。

でもって、こないだのMonarch7 8×30の続きです。友人からメールで「色収差飛ばしただろ・・・」とクレームがあったので観てみましょう。色収差というと野鳥園の玄関前の防災無線を思い出しました。おおっ! 旧型のホーンスピーカから次世代型のラインアレイが新設されているではありませんかって、お話はそうじゃなくって、新機種になってから受信アンテナの取り付け位置が変わって、おあつらえ向きの5素子アンテナが並んでいます。

展望塔から柱をセンタに入れると逆光のアンテナがうまい具合に視野周辺に伸びています。外側にもう一本あれば理想的なんですがまあいいでしょう。撮影してみました。

視野の中央部では色収差は感じられません。40%過ぎたあたりから極めて僅かに現れてきますが眼視では判らないかもしれませんね。

40%を過ぎたあたりからアンテナ素子の右側に赤紫系、左側に青緑系で滲んできますがレベルは低いですし、なお外側にいって60%を過ぎてもさほど増悪しないようです。色収差については極めて優秀とまではいかなくても良好に補正されていると言えそうです。前回申し上げた発色の良さとともに好印象でした。

色収差のお勉強

光学も素人なのにブログで双眼鏡のレビューめいたことを書き散らかしているmedaichiですが、まあ、双眼鏡のお勉強のおさらいということで、ちょくちょく出てくる「色収差」についてお話しておきます。要は像周辺の色滲みの事です。

上の図はプリズムによる光の分散を示していますが、みなさん学校の理科の時間に見た覚えがありますよね。光は空中から硝材に入るときと出るときに屈折しますが、色々な波長(色)を含む白色光は波長によって屈折率が違いますから、波長の長い赤色から短い紫まで虹の様に分散されるというわけです。双眼鏡で使用される凸レンズにあっても、レンズの周辺部の形状はこのプリズムの様になりますから、凸レンズの端部を通過した光は色ごとに分かれてしまい、各色で異なった焦点を結ぶことになります。

つまり青紫系の光ほど屈折率が大きいので単レンズの場合は手前に結像します。軸上色収差といいます。要はピントの位置が波長によってズレるわけですね。双眼鏡のレンズでこんなのを覗くと星なんかだと周りが赤やら青に滲んでしまうわけです。上の図は双眼鏡で一般的な二枚のレンズを組み合わせて赤と青のズレを補正したアクロマートレンズを現しています。

軸上色収差は焦点距離のズレでしたが、こちらは波長によって結像位置の高さつまり像の大きさが異なることによってズレが発生しています。色によってできる像の倍率が違うことになり、倍率の色収といいます。具体的には周辺像が虹色に滲む現象として現れます。

ここまでのお話で思いつかれる読者もおられるでしょう。色収差の大きさはレンズの屈折力によって決まりますね。とするとレンズの屈折力を弱くして焦点距離が長くなるほど色収差を小さくすることができるでしょうが、全長1メートルの双眼鏡ってのは実用にはちょっと。また、材質形状の異なるレンズの組み合わせで収差を補正するのは昔から行われてきましたが、やたらとレンズの枚数の多い双眼鏡って工作精度や重量やコスト的に問題ありそうです。

じゃあ、色による分散が全くないガラスがあれば色収差のないレンズができるんじゃないかとなるかと・・・。ん~、残念ながら、そうした材質はありません。でも分散の少ないガラスは開発されています。特殊低分散ガラスと言ってメーカによって、ED、UD、XD他色々呼称されています。蛍石の人造単結晶で作られたフローライトが知られていましたが効果で取り扱いの難しいので、フローライト成分を含んだ光学ガラスとして開発されたものですね。レンズシステムの中に取り入れることで効果的に色収差を低減できます。特殊低分散ガラス : ED (Extra-low Dispersion) 

当ブログのお客様は野鳥観察メインと思われますからこの辺にしときます。まあ、探鳥会とかでビギナさんからプロミナーだのEDだの、スコープや双眼鏡の色収差がらみのご質問もあるかと思いますので雰囲気だけ覚えていただいてもいいかも・・・。そうだなあ・・・medaichiも「そんなことも知らないのかあ・・・」みたいな顔されるのも癪だから一通りさわりだけは勉強しましたが、聞かれればこんなお話になるのはやむを得ないのですが、自分からこのネタふると周囲から人がいなくなりますW。

Nikon Monarch7 8×30とか・・・③

外観を観てみよう

それでは野鳥の会も御用達、birdwatchingに向く双眼鏡の新旧エントリモデルを見比べてみよう。形状としてはNikon Monarch 8×30 ( 以降mona7と表記 )は鏡筒の真っ直ぐなダハ型、Nikon 8×30EⅡ( 以降E2と表記 )は鏡筒の折れ曲がったポロ型。光軸が折れ曲がったポロ型のE2は全長が短く、光軸のストレートなダハ型のmona7は全幅が狭くアドバンテージがある。重さはE2の575gに対しmona7は435gと軽量だ。

留意いただきたいのは新しいmona7は防水であるが、元祖エントリモデルのE2は非防水ということだ。Birdwatchingだけでなくアウトドアユーズで非防水はちょっと面倒だなあ。

聞いた話によるとポロ型の双眼鏡を防水するのは手間がかかるらしく、左の勝間光学の軍用双眼鏡の民間モデルの位置付けであるGRORY6×30は防水機であるが、右のE2に比べてゴツくていかついW。フォーカシングホイールもE2に比べると接眼レンズ側からは遠いので、屈曲したプリズムハウスごとにぎりこまねばならず、女性や子供達には手に負えないかと・・・。

E2はホイールが接眼寄りにあるので、左の写真の様にプリズムハウスを接眼レンズ寄りに保持すれば、普通サイズのmedaichiの手でも十分なのだが、初めて手に取ってみる方は「なんだかごつくて持ちにくいな・・・」と思われる方もいるだろう。

もし光学的性能が充分な機器同士を比較するなら、小型軽量ってのは大きなアドバンテージだから、時代はコンパクト軽量なダハ型、ラバー外装の防水機がトレンドってとこに行きつくのは間違いないでしょうね。

Nikon Monarch7 8×30とか・・・②

とりあえずは覗いてみよう

外観とか後で紹介するとして、Nikonの双眼鏡の8倍30口径のエントリモデル3機種・この場合はMonarch7 8×30がどんな見え方するか、とりあえず覗いてみよう。真ん中の8×30EⅡはもともとこのクラス最大の広々とした視界が特徴だ。Monarrch7 8×30も健闘して見掛視界60.3°だ。今度のISO規格と新JIS規格では、見かけ視界の算出方法が変わったので、見かけ視界60°以上のものを広視界型双眼鏡と呼ぶようになった事情があります。

Monarch7の8×30はこの広々とした見掛視界で、元祖エントリモデルの8×30EⅡの後継者の資格十分かな。見える範囲が広いってことはBirdwatchingに関して、野鳥を探す時アドバンテージありますもんね。右のProstaff7S 8×30も圧迫感を感じるほど視界が窮屈というわけではない。この辺のクラスの機種としては普通の見掛視界だと思うし、普通にbirdwatchigを楽しむのに不足を感じるというほどのものではないだろう。まあ、双方手に取って比較してみれば差は明らかに感じとれます。

夏の朝、まだ涼しいうちにMonarch7 8×30を覗いてみた。像の明るさは元祖エントリモデルの8×30EⅡの方が僅かに明るい。EⅡを9点とすると8点+あるいは8.5点くらいかな。でもこのクラスの普及機に比べると目に見えて明るく、広い視界とあいまってとても気持ちの良い視野が広がる。加えて発色もニューラルに近く、僅かに暖色味を感じますが白いものは白く見えます。

普通の双眼鏡は同じような傾向だが中央部の解像感はきちんとしてる。像質は中央から40%位から緩み始めるが眼視では70%を過ぎたくらいからでないと覚知できないかもしれない。視野外縁部は緩んできているのがわかる。同様に内向きの糸巻き型歪曲収差が60%くらいから出始める。ここら辺は各メーカのミドルクラスからハイエンドでないとコスト的に補正は難しいだろう。

もっとも、Birdwatchingで野鳥を観察するのに左の様に視野周辺で観察する人はいないわけで、周辺視野は「何かいるな・・・」とか「あっ、何か動いた・・・」と覚知できればいいので、このNikonのMonarch7 8×30は好印象である。

そうだなあ、「干潟にぎっしりのハマシギ・トウネンの群れ・・・、隅から隅までキッチリ見えないとヤダィ!!」とおっしゃられる諸兄は、エントリモデルと言わず、フィールドフラットナ搭載の上級機種の購入を検討されればいいのではないかと・・・


周辺像質って・・・

周辺視野は「何かいるな・・・」とか「あっ、何か動いた・・・」と覚知できればいいのでってバッサリ切っちゃったけど、最近の双眼鏡のトレンドだし、比較してみないと実感してもらえないだろうから、双眼鏡の周辺像質に一番こだわっているであろうメーカのSwarovskiと比べてみることにしよう。medaichiが標準機にしているEL 8.5×42 SVで視野を撮影してみた。あいにくの曇り空だが何とかなるだろう。

中心から45-50%の像形成の精密さは優秀、しかもフォーカスの山もぴたりと決まる。使い心地の良い双眼鏡だ。話がそれたが50%を過ぎたあたりから像質が緩み始めるのだが、非常に軽微なまま周辺端に至るまで持ちこたえているのが観て取れるだろう。しかも周辺像の歪曲も非常に少ないので眼視ではおそらく感じとれないだろう。

聞きかじりだが、EL 8.5×42 SVには接眼部に2枚のフィールドフラットナが搭載されているとのことだ。周辺像の緩みっていうのは乱暴な言い方をすれば、視野中心でピントを合わせても周辺ではピントが合っていないという現象。周辺に現れるレンズの諸収差を補正すると結像点が光軸に垂直な面にそろわず湾曲面となる、いわゆる「像面湾曲」が発生する。広視界タイプの双眼鏡ほど顕著になるから、中心部クッキリ・周辺部ズルズルってなるわけね。昔の双眼鏡ってたいていそういうものでした。「フィールドフラットナ」の技術はそういう結像面の湾曲を適正化するって技術なわけですね。

当然、高度なレンズ設計が必要となるわけなんだが・・・。広い視界で星空を見渡す天体屋さんなら「視野に広がる星のどれを見ても周辺視野までキッチリ点像で見えなきゃヤダ!!」などとおっしゃるわけで、視野中心部での観察メインの鳥屋さんに、エントリモデルも含めてそこまでいらんやろとは正直思います。ネット上での双眼鏡のプレビュもほとんど天体屋さんが書いておられるんじゃないかと・・・。

昔の野鳥ファンの先輩諸兄がZIESS使っておられたのも、当時は国産の双眼鏡で明るく視野の広い良いものが少なかったという事情もあるんでしょうね。今回、Monarch7の 8×30を試してみて明るく広い視野+ニュートラルな像の色合いを確認できました。野鳥観察のエントリモデルとして必要充分な光学性能、防水性とコンパクトな形状がバランスよく作られているモデルとして推奨できます。