ホウロクシギとダイシャクシギの見分け方

2012年4月の春の渡りに、野鳥園を訪れてくれた子たちに協力してもらう
ことにします。写真をクリックすると大きな画像が開きます。
    ホウロクシギとダイシャクシギ、どちらも、最も大型のシギの仲間です。オス・メス同色で、大きく下方に湾曲した長いくちばしをもち、どちらも顔から腹にかけて黒褐色の縦班があるし…よく似てますね。 
 手元の図鑑によると、「ホウロクシギのほうが褐色味があり、ダイシャクシギはより淡色と書いてあります。また、ホウロクシギの体下面から下尾筒は淡い褐色で、ダイシャクシギは白い。背から腰も、ホウロクシギは淡褐色で班紋があり、ダイシャクシギの背から腰は白い。ホウロクシギの翼の下面は一様に黒い横紋があり、ダイシャクシギの翼下面は風切りを除いて白い。」等と違いが書かれています。
 「ん~…、ややこしくって良くわからんぞ~!」と投げ出す前に、そもそも、フィールドで図鑑の記述が実際の鳥でどう見えるかを確かめるというのは、バードウォッチングの上達の第一歩だから、まあ、あきらめずにやってみましょう。
 ここからは、左の写真がホウロクシギ、右の写真がダイシャクシギです。図鑑の記述にしたがって、それぞれの部分が、実際にどう見えるか確かめてみることにしましょう。

識別ポイント① 「ホウロクシギのほうが褐色味があり、ダイシャクシギはより淡色 」 
 ホウロクシギ     ダイシャクシギ 
 
  さあ、上の写真を見てみましょう。左がホウロクシギ、右がダイシャクシギですが…、野外での観察経験を積めば、ある程度の色味の違いが分かるようになるんですが、写真にしちゃうと処理の仕方で、どうとでも見えるので怪しくなりますね。野外での観察でも、光の加減で見え方は変化しますから、この部分は参考程度ってことで、あまり、こだわらない方がいいでしょう。冒頭の二羽一緒の写真を見てもらえば、右の個体の方が、わずかに褐色味が強いのが解ります。雨覆の羽縁なんかはダイシャクシギのほうが明らかに白っぽく見えますね。ですが、個体差とか光の条件とかを考慮すると、いつも識別できるとは限らないし、単独でいる場合は、他の識別点と併せて判断するべきです。

識別ポイント② ホウロクシギの体下面から下尾筒は淡い褐色で、ダイシャクシギは白い。
 
 ホウロクシギ   ダイシャクシギ 
 
     
   どうですか、左のホウロクシギの方が下腹から尾羽下にかけて褐色味を帯びているのがお分かりでしょうか。写真では見て取ることができますし、実際のフィールドでもこの辺を観察して判断する場合が多いようですが、もし、写真を撮るチャンスがあるなら撮っておいたほうがいいでしょう。

 ああ、それから、図鑑の解説っていうと、中雨覆だの下尾筒だの、ややこしい用語が出てきますが、基本、憶えておられるって前提で図鑑の解説は書かれていますから、今更感満載の話ですが、面倒がらずに憶えておきましょう。「図鑑に書いてあることが、なかなか、覚えられないんですう~」って方の中には、失礼ながら、意外とこのあたりのことを怠けておられる方が多いように思えます。
     
識別ポイント③ 背から腰は、ホウロクシギは淡褐色で班紋があり、ダイシャクシギの背から腰は白い。 
 ホウロクシギ    ダイシャクシギ 
   
 親切にも、左のホウロクシギ君が背中を羽繕いして見せてくれました。しっかり褐色味があり、右のダイシャクシギの白い背中と明らかに違うのがわかりますね。この部分はポイント高そうですし、後姿しか見えないの時、飛翔している鳥の場合は便利ですよね。

識別ポイント④ ホウロクシギの翼の下面は一様に黒い横紋があり、ダイシャクシギの翼下面は風切りを除いて白い。
 
ホウロクシギ    ダイシャクシギ 
   
  さて、この部分はちと難しいかな。飛んでる鳥の羽根の下面を双眼鏡で確認するか、干潟にいる鳥がバンザ~イってしてくれるのを根気よく待つしかない訳で(W)…。 で、根気よく待ちました。左のホウロクシギの翼下面から脇にかけて斑紋があり、ダイシャクシギの風切を除いて翼下面から脇にかけては白いことがはっきり見て取れますね。干潟にいる鳥を観察している場合は、ハードル高そうな識別ポイントですが、飛んでる鳥を下からの見上げで観ている時には思い出してくださいね。

識別ポイント⑤ 嘴は…? 
     ああ、それから、嘴なんですが、よく「ホウロクシギの嘴のほうが大きくて、下への湾曲の具合が…」どうだこうだって話も聞かれることもあるかもしれませんが、鳥の成幼とか姿勢、写真を撮る角度とかで、どうにでも見えるので、しっかり観察できるときはともかく、写真で見るときはこだわらない方が無難ですね。管理人は写真では無視してます。左の写真は9月の初旬に撮影した、ホウロクシギの若鳥君と思われますが、秋は、こんなのもいますからね~。